モバイルバッテリーの機内持ち込みルールが変わった。2026年最新版、国内線・国際線で慌てないための完全ガイド

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旅の荷造りをしていて、ふと手が止まったことはありませんか。スマートフォンの充電が切れたら困るからと、当たり前のようにバッグに入れていたモバイルバッテリー。ところが最近、SNSやニュースで「ルールが変わった」「2個までしか持ち込めない」といった話をちらほら見かけるようになりました。

正直なところ、私自身も最初は半信半疑でした。今まで普通に持ち込めていたものが、急にダメになるはずがない。そう思っていた矢先に、2026年4月24日から国内線・国際線を問わず新しいルールが適用されているという事実を知り、慌てて調べ直した経緯があります。

結論から言うと、ルールが変わったのは事実です。ただし、正しく理解して準備さえしておけば、何も怖いことはありません。むしろ、なぜこのルールができたのかを知ると、リチウムイオン電池という身近な存在に対する見方が少し変わるはずです。この記事では、2026年の最新ルールを一つずつ整理しながら、国内線と国際線での注意点の違い、そして旅の相棒となるモバイルバッテリーの選び方まで、出発前に押さえておきたい情報をまとめました。

何が変わったの?2026年4月24日からのモバイルバッテリー新ルールを整理する

なぜルールが変わったのか。発火事故という現実的なリスク

まず前提として押さえておきたいのが、今回のルール改正が単なる「規制強化のための規制強化」ではないということです。国土交通省は、国際民間航空機関(ICAO)が定める国際基準にもとづいて、モバイルバッテリーを航空輸送する際の安全基準を定めています。そして航空機内での発火事例が増加したことを受けて、2026年4月24日にこのルールが改訂されました。

電力中央研究所・東京科学大学の工学博士である池谷知彦さんによると、発火の背景には「数年前に販売され、長年使い続けてきた製品の劣化」があるといいます。モバイルバッテリーに内蔵されたリチウムイオン電池は、充電を繰り返すたびに少しずつ劣化し、発熱・発火のリスクが高まっていくのだそうです。劣化が進むと充電時に内部で可燃性ガスが発生し、そこに落下などの衝撃が加わったり高温環境に置かれたりすると、一気に200度以上まで温度が上昇することもあるといいます。

密室で狭い空間である機内では、簡単に消火できるわけではありません。周囲には手荷物など可燃物も多く、あっという間に燃え広がる可能性もある。だからこそ航空機内では、発火を未然に防ぐことに重きが置かれているのです。

ちなみに、スマートフォンやパソコンも同じくリチウムイオン電池を内蔵していますが、モバイルバッテリーほど厳しいルールは課されていません。これは、スマートフォンやパソコンにはCPUが内蔵されており、内部で熱暴走が起きないよう自動で制御が働くこと、そして筐体も比較的頑丈でバッテリーが守られた構造になっていることが理由だそうです。一方でモバイルバッテリーの構造はとてもシンプルで、いわば電池が服を着ただけのような状態のため、落下や衝撃に弱く、より丁寧な管理が求められるというわけです。

新たに加わった3つのルール(2個まで・機内充電禁止・給電禁止)

2026年4月24日の改訂で新たに加わったのは、次の3つです。

まず、機内に持ち込めるモバイルバッテリーは「1人2個まで」に制限されました。以前は明確な個数上限が定められていませんでしたが、これからは何個も持ち込むという発想自体を切り替える必要があります。

次に、「機内でモバイルバッテリーへの充電をしない」というルールが加わりました。座席に備え付けられたUSBポートなどを使って、モバイルバッテリー本体を充電する行為はできなくなっています。

そして、「機内でモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしない」というルールも新設されました。スマートフォンやパソコンの充電は、機内備え付けのUSBポートから直接行い、モバイルバッテリーを経由させないというのが、これからの基本姿勢になります。

以前からある4つのルール(160Wh以下・預け入れ禁止・収納棚NG・端子の絶縁)

新ルールとあわせて、以前から定められている4つのルールも変わらず適用されています。

一つ目は、預け入れ荷物にモバイルバッテリーを入れてはいけないというルールです。貨物室で万が一発火が起きた場合、消火が遅れて大事故につながりかねないため、モバイルバッテリーは必ず「身の回り品」として機内に持ち込む必要があります。

二つ目は、座席上の収納棚には収納しないというルールです。機内に持ち込んだ後は、収納棚にしまうのではなく、座席ポケットなど自分の手が届く範囲で保管することが求められます。

三つ目は、ワット時定格量(Wh)が160Wh以下であることです。これを超える製品は、そもそも機内に持ち込むことができません。Whの表記がない製品も、輸送の可否を判断できないという理由で持ち込みができないので注意が必要です。

四つ目は、端子部の絶縁です。端子部分が他の金属や電池と触れるとショートを起こし、発熱・発火につながるおそれがあるため、絶縁テープを貼るか、ケースや収納袋に一つずつ入れて保護することが必要です。一つの袋やケースに複数のモバイルバッテリーをまとめて入れるのはNGで、個数分の袋やケースを用意する必要があります。

Wh(ワット時定格量)の調べ方と計算式

自分のモバイルバッテリーが160Whの範囲に収まっているかどうかは、本体の表示を見ればたいてい確認できます。ただし、容量がミリアンペア時定格量(mAh)でしか記載されていない製品もあります。その場合は、次の式でワット時定格量(Wh)を求めることができます。

定格容量(Ah)× 定格電圧(V)=ワット時定格量(Wh)

mAh表記の場合は、mAhの数値を1000で割るとAhに換算できます。定格電圧は製品によって異なるため、本体の表示や取扱説明書を確認してみてください。

たとえば、本体に「20000mAh」とだけ記載されており、定格電圧が3.7Vのモバイルバッテリーだった場合を計算してみます。まず20000mAhを1000で割ると20Ah。これに定格電圧3.7Vをかけると、20Ah × 3.7V=74Whとなります。160Whという上限に対してかなり余裕があることがわかります。逆に、大容量をうたう業務用に近いモデルの中には、100Whを超えるものや、まれに160Whに迫るものも存在するため、大容量モデルを検討している場合ほど、購入前の確認を丁寧に行っておきたいところです。

目安として、10,000mAh〜20,000mAhクラスのモバイルバッテリーであれば、多くの場合37Wh〜74Wh程度に収まり、160Whという上限を大きく下回るため、比較的安心して持ち込むことができます。

なお、モバイルバッテリー以外にも、リチウムイオン電池を内蔵した充電式の電子タバコやヘアアイロン、ハンディファン、デジタルカメラの予備バッテリーなども同様の注意が必要です。電子タバコはすべて預け入れ不可で、機内持ち込みのみ可能とされています。ヘアアイロンやハンディファンなどは、製品の種類やバッテリーの取り外しができるかによって扱いが異なるため、心配な場合は利用する航空会社の公式サイトで事前に確認しておくと安心です。

国内線と国際線、注意すべきポイントは同じ?違う?

国内線は基本的に共通ルール。ANA・JALともに同じ考え方

2026年7月現在、日本発着便のモバイルバッテリーの機内持ち込みルールは、国内線・国際線を問わず基本的に同じ考え方で運用されています。「JAL」も「ANA」も、国土交通省の基準にあわせて、160Wh以下・2個まで・預け入れ不可・収納棚への収納不可・機内での充電および給電の禁止という枠組みをそろえています。国内線だから緩い、国際線だから厳しいという単純な話ではなく、まずは共通の土台があると理解しておくと整理しやすいと思います。

国際線は「その国・航空会社の上乗せルール」に要注意

一方で、国際線を利用する際にもう一段注意しておきたいのが、国や地域、航空会社によっては日本より厳しい独自ルールを設けている場合があるという点です。

実際、シンガポール航空は2025年4月1日から、飛行中の機内でモバイルバッテリーの使用と充電を全時間帯で禁止しています。モバイルバッテリーを使ったスマートフォンなどの充電も、機内の充電用USBポートを使ったモバイルバッテリー本体への充電も、離陸から着陸までの間はできません。大韓航空やアシアナ航空、タイ国際航空、エバー航空、チャイナエアラインなど、アジア圏の航空会社の中にも同様の措置を導入しているところがあります。日本の新ルールが適用される前から、こうした動きは各国で先行して進んでいたということです。

つまり、「日本のルールさえ守っていれば大丈夫」ではなく、利用する航空会社の公式サイトで、その会社ならではの追加ルールがないかを必ず確認しておくことが、国際線利用時のポイントになります。確認する際は、航空会社の公式サイトの「手荷物」や「機内持ち込み制限品」といったページを検索するとたどり着きやすく、モバイルバッテリーや「リチウムイオン電池」といったキーワードで探すとスムーズです。

バッテリー類の機内持ち込みルールは、国際航空運送協会(IATA)の「航空危険物規則」にも定められており、この規則は毎年1月に見直されているため、今後さらに条件が変わっていく可能性も十分にあります。実際、今回のICAOの基準改定も、各国・各航空会社が足並みをそろえて対応を進めている最中であり、渡航先によって適用時期に多少の前後があることも考えられます。旅行会社に手配を依頼している場合は、担当者にモバイルバッテリーの持ち込みルールについて確認しておくのも一つの方法です。渡航のたびに最新情報をチェックする習慣をつけておくと、余計な不安を持たずに済みます。

コードシェア便を使うときの落とし穴

見落としがちなのが、コードシェア便を利用する場合の扱いです。航空券には見慣れた航空会社の便名が記載されていても、実際に機体を運航しているのは別の航空会社、ということは珍しくありません。この場合、モバイルバッテリーの持ち込みルールは、原則として実際に運航する航空会社のルールが優先されます。予約した航空会社のルールだけを確認して安心していると、実際の運航会社ではより厳しい制限が設けられていた、という可能性もゼロではありません。搭乗前には、予約確認書に記載された実際の運航会社名を確認し、そちらの公式情報もあわせてチェックしておくと安心です。

出発前に確認しておきたいチェックリスト

ここまでの内容を、出発前に確認したいチェックリストとして整理しました。

確認項目チェックのポイント
個数モバイルバッテリーは1人2個までに収まっているか
容量表示本体にWh表示があるか、なければmAhから計算したか
上限160Wh以下に収まっているか(100Wh前後ならより安心)
保管場所預け荷物ではなく、機内持ち込み手荷物に入れているか
絶縁端子部を個別にケースや絶縁テープで保護しているか
機内での扱い収納棚に入れず、座席ポケットなど手元に置く準備をしているか
利用予定機内でモバイルバッテリーを充電・給電に使わない前提で計画しているか
航空会社ルール利用する航空会社(コードシェアの場合は運航会社)の公式サイトを確認したか

もう慌てない。旅にちょうどいいモバイルバッテリーの選び方と備え方

PSEマークと劣化サイン、まず見るべき2つのポイント

新しいルールを踏まえたうえで、そもそもどんなモバイルバッテリーを選べば安心なのかを考えてみたいと思います。まず確認したいのが「PSEマーク」の有無です。これは電気用品安全法の基準を満たした製品に表示されるマークで、経済産業省もその安全基準について案内しています。極端に安価な製品や、問い合わせ先が不明瞭なメーカーの製品は避け、信頼できるメーカーの、PSEマークが表示された製品を選ぶことが基本になります。

すでに持っているモバイルバッテリーについては、劣化のサインが出ていないかを一度チェックしてみてください。以前より充電に時間がかかるようになった、充電中に本体が熱を持つ、本体が膨らんでいる。こうしたサインが一つでも当てはまる場合は、無理に使い続けず、買い替えを検討したほうが安心です。

私自身、数年前に購入したモバイルバッテリーを見直してみたところ、充電の減りが以前より早く感じていたことに気づきました。旅先で電池切れになるほうがよほど不便だと思い直し、今回のルール改正をきっかけに買い替えを決めた、という人も周りに何人かいます。「まだ使えるから」と後回しにしがちなアイテムだからこそ、旅の準備というタイミングで一度見直してみる価値はありそうです。

旅の相棒として現実的な容量の目安

容量選びで迷ったときは、10,000mAh〜20,000mAhクラスを目安にするとバランスが取りやすいと思います。3.7Vのモバイルバッテリーで計算すると、おおよそ37Wh〜74Wh程度に相当し、上限である160Whを大きく下回るため、安心して機内に持ち込むことができます。スマートフォンをおよそ2〜4回程度充電できる容量感で、日帰りの国内旅行から数日間の海外旅行まで、幅広く対応できるクラスです。「大は小を兼ねる」と大容量モデルに惹かれる気持ちもわかりますが、今のルールにおいては、必要以上に大きな容量を選ぶことが、かえって持ち込みのハードルを上げてしまう場合もあるという視点は持っておいて損はないはずです。

旅先で頼れる相棒を探すなら、「PSEマーク」付きで容量表示が明確な小型・軽量タイプの「モバイルバッテリー」をチェックしてみてください。

絶縁ケース・収納ポーチという「ひと手間」が安心を作る

端子の絶縁は、正直なところ面倒に感じる作業かもしれません。ですが、ジッパー付きの小さな袋にモバイルバッテリーを一つずつ入れるだけでも、立派な絶縁対策になります。最近では、モバイルバッテリー専用の「絶縁ポーチ」や、耐熱・難燃素材でできた収納ケースも販売されており、こうしたアイテムを一つ持っておくと、保安検査場でも慌てずに済みますし、機内で座席ポケットに収納する際にもかさばりにくく便利です。ケーブル類とまとめて整理できる「トラベルポーチ」を一つ用意しておけば、モバイルバッテリー以外の充電まわりのアイテムもまとめて管理できて、荷造りそのものがぐっと楽になります。

モバイルバッテリーに頼りすぎない旅のつくり方

最後に、少し視点を変えた話をさせてください。今回のルール改正で「機内では充電できない」という前提が加わったことで、私自身、モバイルバッテリー任せの旅から少し距離を置くようになりました。出発前にモバイルバッテリー自体をしっかり満充電にしておく、空港のラウンジや搭乗ゲート付近の充電スポットを事前に調べておく、機内では備え付けのUSBポートやコンセントを積極的に使う。こうした小さな工夫を積み重ねるだけで、モバイルバッテリーへの依存度は驚くほど下がります。

ルールが厳しくなったと聞くと身構えてしまいますが、見方を変えれば、これは「充電計画を少し丁寧に立てる旅」への切り替えのきっかけとも言えます。小さな準備の積み重ねが不安を減らし、結果として旅そのものを楽しむ余裕につながっていく。モバイルバッテリーのルールひとつをとっても、そんな旅の作法を見直すいいタイミングなのかもしれません。

考えてみれば、旅の準備というのは、こうした細かなルールの積み重ねを一つずつ整えていく作業でもあります。液体物の持ち込み制限や、パスポートの残存有効期間、両替のタイミングなど、覚えておくべきことは意外と多いものです。モバイルバッテリーのルールもその一つとして、面倒だと切り捨てるのではなく、旅の安全を支える知識として、ゆるやかに身につけていければと思います。

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